ねこだまし!

ネコとアートとカメラとわたし

リボーンアートフェス2017に行ってきました(1日目 石巻市街地編)

2017年8月30日・29日の2日間で、宮城県石巻市で開催されているリボーンアートフェスに行ってきました。

コンセプト

Reborn-Art Festival ( http://www.reborn-art-fes.jp ) から引用

Reborn-Art Festivalとは、「アート」「音楽」「食」を楽しむことのできる新しいお祭りです。

このお祭りでは、石巻中心市街地と牡鹿半島にて、
国内外の現代アーティストたちの作り上げた作品が地元の方々の協力のもと展示され、
さまざまなスタイルの音楽イベントが開催され、
さらには、石巻を含む東北のシェフのみならず、国内外の有名シェフたちによる地元の食材を使った
ここでしか味わえない食事をいただくことができます。

今、生まれ変わろうとしている東北だからこそ、他では出会うことのない価値観や人に出会うことができる。
今まで出会うことのなかった自分にさえ、出会うことができるかもしれない。
「Reborn-Art」とは、東北の再生を指すだけでなく、参加する人それぞれの「Reborn」を願うお祭りです。

わたしと東日本大震災と「リボーン」

「リボーン」は生まれ変わるという意味ですが、リボーンアートフェスは被災地の震災からの復興だけでなく、地元の方々や参加者の再生も目的としているのが特徴。

私も当時飼っていたプレーリードッグの子供が仙台へ里子に出ていて、東日本大震災津波で亡くなっています。現地にいたわけでもなく、ペットなのでそこまで重い感情を抱えているわけではないんですが、まったく関係がないこともないという微妙な関係です。もちろん実体験としても本震の際にはそれまで経験したことのない揺れに恐怖を感じましたし、その後の報道で津波や火災の映像や、週があけても正常ダイヤに戻らない電車、計画停電や節電などがあり、死生観に少なからぬ影響を与えています。

とはいえ、6年半が経ち、横浜に住む私にとってはちょっと遠くなってしまった震災の記憶。
現地に行ってみてどのような体験をして「リボーン」するのか楽しみにしつつ現地を訪れました。

0日目

旅程の初日は田代島へ行きました。
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フェリー乗り場の周辺は被害の大きかった地域で、石巻駅からバスで向かうと工場を境にほとんど建物がなくなります。海側には建設中の巨大な防潮堤の前に草原が広がっていて、左手には火災の跡が残る旧門脇小学校があり、ハッとさせられる光景です。
上記エントリにも書いたんですが島ではネコに癒やされつつ、港の工事を見てまだ元の姿に戻るのは遠いなと思いました。

島から戻ってホテルにチェックインしたのが15:30くらい。17:30まで開場している作品が多く、差額も少ない(2日券3000円。3日券4000円)ので3日券を購入して時間のある限りまわった方が良かったかなと思います。

1日目:エリアA

会場は石巻市街地のエリアA、郊外のエリアB、牡鹿半島桃浦周辺のエリアC、半島先端の鮎川周辺のエリアDに分かれています。この日はエリアAとBを観に行きました。

朝は早めにホテルを出て朝食を食べようと思ったんですが、あてにしていたお店がお休み。仕方がないので散歩をしていたんですが、マンガロードも端まで行ってしまい、することがない。

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しかも強めの雨が降ってきました。神社の鐘楼(そういえばなんで神社なのに鐘があったんだろう)で雨宿りをしつつスマホで検索すると、石ノ森萬画館は9時開館とのこと。アートフェスの会場が開くのは10時からなので、まずはそちらへ行くことにします。

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神社前の川に石巻の地名の由来になった石があるらしいんですが、震災で地盤沈下したために干潮時にしか見えなくなってしまったそうです。

石ノ森萬画館

石ノ森萬画館には10分くらいで到着。
ここは中瀬とよばれる中洲にあって、川の真ん中なので震災の被害も大きかったそうです。建物はほとんど流され、漫画館も1階は壊滅(館内に当時の写真があります)。

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ちょうど9時だったので、からくり時計が動いてました。しゃべっているキャラクターの名前が表示される親切設計。

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中は撮影不可のエリアが多く写真はなし。仮面ライダーの歴代マスクが展示されているのが良かったです。

映像室ではシージェッター海斗を観たんですが、映像はしっかり作られているし石ノ森章太郎のラフスケッチから石ノ森プロダクションが作成したという「リボーン」なご当地ヒーロー。石巻駅駅名標にも描かれているし、駅前には像がありましたね。

そうこうしているうちに10時に近くなったので、リボーンアートフェスめぐりを開始しました。

日活パール劇場

まず最初に向かったのは日活パール劇場。
アートフェスの1ヶ月前まで営業していたポルノ映画館です。行政も関連するアートフェスではまさかの会場選定。
内部もそのまま残されているので、「そういった」ポスターがいたるところに貼られています。

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表からは小さそうに見えますが、奥に入るとかなり広く、スクリーンはふたつあります。
シネマ1は震災被害が大きく営業停止となりましたが、シネマ2は3ヶ月後には営業再開しました。廊下の天井いっぱいの2メートル50センチの波をかぶったのにも関わらず。

ハスラー・アキラはポップでかわいい。
カオスラウンジは期待したほどではなかった。館主に注釈を書かせてしまうテキストはどうかと思うし、VRは完全に蛇足。

とはいえここを知り、訪れることができたことには感謝。

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商店街・街中アート

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津波の水位が書かれたビル。

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台湾のアーティストの壁画。街のアートもいたるところにあります。
こちらも236cmと最大水位が書かれています。

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旧柏屋のシャッターに描かれたかわいいネコ。

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ガルバナイズギャラリー

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改装中の電気屋さんを通って、奥の路地を進んだ先にあります。
受付でパスポートの確認をして建物の中に入ると、お店の人が打ち合わせをしていて「いらっしゃい」。元電気屋ではなく、現電気屋の面白さ。

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旧柏屋

店舗部分と倉庫部分の両方が会場になっています。

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店舗には携帯風呂をかついで各地で入浴する作品が。

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倉庫部分は震災後に放棄されてしまったので当時がそのまま残っていて、それらの品々と映像作品が展示されています。

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IRORI石巻

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お腹が空いてきたので何か食べようとIRORI石巻へ。
カレーにしようとしたら予約で売り切れとのこと。仕方がないのでコーヒーとピザトーストを食べました。

旧旅行代理店

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写真作品を展示。
砂浜と子供の写真は美しく、鹿の写真は神々しい。とても良いものを観た。

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ビューティーサロン・ベル

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石巻市民へのインタビュー。
「消したいものはありますか」「生まれ変わったら何になりたいですか」と直球のテーマ。中には重い話もあるけれど、これだけ話せるようになった事自体が前進なのかなと。
もっと時間をかけて観たい作品でした。

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しぇんろん

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予想通りピザトーストだけではお腹が減ってしまったので担々麺を食べる。
夜は居酒屋で、日本酒の瓶がたくさんありました。

本家秋田屋

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美しい日本家屋と和洋折衷の蔵。
家の中にあるとは考えられない大きさの神社。
アート作品よりも家そのものが芸術品でした。

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旧観慶丸商店

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目のrepetition windowの予約をしてから作品鑑賞。

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アーティストのプラン・ドローイングは必見。

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宮永愛子「海は森から生まれる」は桃浦エリアの同名作品とは対象的な雰囲気。

2階にはナムジュン・パイクヨーゼフ・ボイスなどの作品があります。

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石巻市

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目の「repetition window」に参加。
荷台を民家に改造されたトラックに乗り、石巻市内をめぐる作品。
家々が流された空き地。被災した小学校。お地蔵さん。防潮堤で見えなくなった海岸線。約40分間の旅で、石巻の現状が理解できる。
解説がないので退屈だと感じるひとはすくなからずいるのではないかという点が気になったのと、なぜ民家に改装したのかがわからなかった。
田代島へのフェリー乗り場へのバスルートとかぶる部分が多いので、田代島に行ったひとは乗らなくて良いかなと思います。

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1日目:エリアB

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続いてリボーンアート・バスに乗車して、Bエリアをまわります。
バスは1ヶ所に20分くらい停車してくれるので、観て・戻ってを繰り返せば全部の作品を鑑賞することが出来ます。

鹿島御児神社・元展望レストラン

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作品に興味がわかなかったので神社にお参り。
そしてネコと遊ぶ。飼い猫らしく、いろいろ遊んでくれました。

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Reborn-Art House

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小林武史が音楽を担当した「D・E・A・U」。
オシャレインスタ映え作品。

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本間家蔵・石造りの元米蔵

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本間家の蔵がとても良かった。収蔵物それぞれ、震災の写真やメッセージ。もっと時間をかけて観たかったし、本間さんとも話をしたかった。
キノコはワタリウムです。

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元米蔵はなんでこの作品なんだろう?という気持ちに。

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3作品がまとまっているのでとにかく時間がない。歩いて行くのも厳しい距離なので、もうちょっとバスの時刻表を考えていてもらえると良かったですね。

ワンパーク

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とにかくカッコイイ作品群。
こちらも作品点数が多くてちゃんと観ることができず。

ワンパークの裏手は水産加工工場があるので全員が臭い臭いと言っていた(笑)

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夜の作品

リボーンアートフェスでは夜だけ観られる作品があります。

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まとめ

齋藤陽道とキュンチョメが良かった。

特にキュンチョメの「空蝉Crush」は、単に何に生まれ変わりたいかを答えていくだけでなく、震災の年に生まれたセミの抜け殻をつぶす。決意めいた変化の願望も、グシャっという音も、それぞれ違う。それが心に響く。

日活パール劇場と旧柏屋、本家秋田屋は会場のインパクトが圧倒的。
この芸術祭は10年続けるらしいので、今回見た景色や建物がどう変わっていくのかも楽しみです。

2日目の記事はこちら。
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