森美術館で2018/10/6から2019/1/20まで開催されている『カタストロフと美術のちから展』に行ってきました。
『崩落』
トーマス・ヒルシュホーン
崩落の原因は明示されていないんですが、東日本に住んでいる人間には3.11を想起してしまいます。関西の方なら阪神淡路大震災、九州であれば熊本地震、紛争地域なら空爆など、それぞれの立場によって思い起こされるでしょう。明確なメッセージ性がありながら、鑑賞者側に委ねられている部分が大きい。また、建物も瓦礫もダンボールで出来ていて、シリアスなテーマが重くなりすぎていません。イントロダクションとしてふさわしい作品です。
向かって右の部屋の壁には「すべての想像は破壊から始まる」というパブロ・ピカソの言葉が書かれています。
横浜トリエンナーレにも展示のあった畠山直哉。
昨年、リボーンアートフェスティバルで石巻を訪問差したんですが、震災の写真や映像は実際に現地に行ったあとに見るとリアリティが全然違います。
『アイソレーター』
ヘルムット・スタラーツ
アイソレーターとは薬品開発などで隔離環境で無菌状態を作り出して作業を行う場所。
この作品では布をかぶった人物がボンベからチューブで酸素を吸っています。投げ出された両手は無気力なようでもリラックスしているようでもあります。ディストピアなのかユートピアなのか。
『ヴァージョン(ミサイルのバリエーション)』
オリバー・ラリック
イラン革命防衛隊が2004年に発表したミサイル発射写真がフェイクだった(実際に発射されたのは3発)というニュースにもとづいて作成された作品。
アホみたいに飛ばしてるのが笑える。なにはともあれ茶化す方向に持っていくの、好きです。
『予兆』
池田学
部分を切り取って撮影しました。
大きなカンバスに津波のモチーフ。船やビル、山などを飲み込んでいく様が描かれています。細かなところを見ていくと様々な人間の生活が描かれていて、津波にさらわれていく瞬間だということを忘れてしまいます。津波のモチーフは東日本大震災を連想してしまいますが、なにも考えずに生活している日常こそが津波なのではないでしょうか。
『オデッセイ』
アイ・ウェイウェイ
古代ギリシャのモチーフで難民の姿、それを制圧する国境警備隊などが描かれています。
『アートで何ができるかではなく、アートで何をするかである』
高橋雅子
地元の巻き込み方のパワーがすごい。ディスプレイに映し出される笑顔が素敵。
ジョルジュ・ルース
震災後に取り壊しの決まったカフェ・ロワンの店内にペイントを行い、ある1点から見ると星が見えるようにした作品。もうすぐなくなってしまう場所にあえて描いた希望の星。
「そうか、取り壊されちゃったんなら写真だけだよね」と思って左を向いたら再現されていました。「よくあるやつ」なんですけど実際目の前にすると「おっ」って思いますね。
『色を加えるペインティング(難民船)』
オノ・ヨーコ
来場者がペイントを加えていくことで完成する作品。
開催国・場所によって描かれる内容がぜんぜん違うんでしょうね。面白い。
他にも素敵な作品多数なのでぜひ!
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